ただのツッコミ

「模倣される日本」では、ハリウッドを中心とした巨大メディアの中で日本の作品や「日本」自体がどう料理されているのか、クロサワからキルビル、今年公開の「さゆり」の映画化まで多数の事例を取り上げて議論している。まじめな評論かと思えば、自分が見聞きした噂話からネットでのネタまで同等に扱って、ソースが行き当たりばったりだという印象を隠さないのも目新しい。最終的には日本も「オリジナルな文化」の創生にはげまなきゃ!という、陳腐な掛け声で終わってしまうのが惜しい本。
特に後半はファッションから食文化まで話題を広げた分、安直な解釈や因果関係の分析の甘さが目立つが、ちょっとインテリな面子の集うディナー(どんなシチュエーションだ?)での話のネタにはちょうど良いかも・・・。島崎藤村の「夜明け前」とクレヨンしんちゃんの「オトナ帝国の逆襲」を同列に語って真剣に聞いてくれる人ってものすごく少ないと思うけれど。