血と糞尿にまみれる本

非常に下品な本だなーと思いながらも、ニヤニヤしながら一気に読みきってしまいました。

戦記モノにしては妙なリアリティーを提供しようと、意固地になっているような作品です。ライトノベルなんだし、と普通は甘くなるような部分をやけに詰めてきて、大枠のタガは外してしまおうというのはこの作家モットーなんでしょうか。妙に手馴れています。

ちょっと歴史モノの匂いを漂わせながらもサーベルタイガーのみならず、龍やら金髪美人やら両性具有者まで引っ張り出してくるのに主人公はブサ男だなんて、あざとすぎる。9巻までで未完だそうだけれど、別に最初に始めた戦が終わっていなくてもここで終いにしてもいいんじゃないかという区切りにあります。宮尾登美子が育ての母が死んだ先の綾子シリーズを書かないように、状況よりも心象で区切りがついてしまうと物語は終了してしまうこともあるのだと。

テレビで毎週見れたらかじりつくだろうとは思うけれど、放送コードにひっかかりすぎてアニメにもならない予感。ただ、アメリカのテレビシリーズなら可能性はあるかもしれない。そのくらい惚れ惚れするような残虐シーンも、実は活字ならではの楽しみなのかもしれませんな。


皇国の守護者〈9〉皇旗はためくもとで (C・NOVELSファンタジア)

皇国の守護者〈9〉皇旗はためくもとで (C・NOVELSファンタジア)