ヤクの本

最近ブックオフの文庫本エリアでやたらすっかすかの中島らもセクション。心の隙間を埋めてくれるからでしょっかね、モグロフクゾーを古本畑で追いかけて。で、自分もごたぶんにもれず「アマニタ・パンセリナ」を買ってきた。ドラッグに関してかなり知識で武装した中島らもが、それを通り越して自分の体験とヨロケ話をつづる。こういう地に足ついたお話は嬉しい。

日本人のドラッグ知識は「キスしたら妊娠する」と思っていた昔の女学生の性知識レベルに近い。イメージだけど。ウチの子はドラッグなんて触れる事もないザマスからという親は、そっくりそのまま、ウチの子に限って異性と触れる事もないザマスといっていた親に通じるんだろう。でも性教育ほどドラッグ教育は普及していない。ドラッグについて知りもしなかった子供にあえて知識を与えたら中毒者になる機会を与えるんじゃないか、責任を問われるんじゃないか、ていうのが怖いのだろうな。そんな可能性はえらく低いと、らも氏が繰り返し書いてもね。逆に教育をしなかったおかげでシャブ中が毎年何人増えているのか、未来の損害予想より現在までの損害実績の大きさにビビるべきでしょ。何でもかんでもやってくれと頼むなよ、面倒みきれんわい愚民どもめが、というのが文部科学省の本音かもしれんけど。

でも、ことドラッグに関しては国の方針というのが世間の認識を形どっているのだから、しっかりケツ持ってもらわな。そんなん親の躾の範囲だというなら、オリジナル方針で躾るけど。(笑)ただ、なんで日本ではこんなにアルコールに対して意識が低いのってアメリカ人に聞かれたら、説明するのが面倒いので「文化なんだ、文化!」と切り捨てる自分が子供にちゃんと説明できるのか自信ないんだな。酒についてならいくらでも語れる大人は周囲に腐るほどいるけど、ドラッグについて語れる大人になれない分はらもさんの本に始まる参考文献の山で補う手もありかと。

アマニタ・パンセリナ (集英社文庫)

アマニタ・パンセリナ (集英社文庫)