ただの感想

星条旗といえばJasperJones


恵比寿で「華氏911」を見てきました。ドキュメンタリーとしては、コロンバインのほうが出来が良かったと思うけれど、そんな事言ってられないあせりがにじみ出てしまう悲痛さが沁みた。見る前から町山さんのブログで予備知識いっぱいテンコ盛で臨んだわけで、なるほどオッパイが足りないなぁーと。全体的に余裕がないです。笑いが生むブレイクスルーよりも、正攻法でネタを積み上げて門をぶち破るほうに手法に集中する事にしますた時間ないから!!・・・そんな感じ。

先週かそこらに夜中のテレビで井筒監督という人が、一生懸命酷評していましたが、なんだか批評と関係ないところ・・・こんなのブッタぎっちゃう俺・・・に酔っているようで論外。映画にはもっとゲイジュツ性の高い主題を趣のあるスタイルで表現してほしいというのならそう主張すれば良いのだろうけど、カンヌとかタランティーノなんか解せないからとまで話を広げると了見の狭い男の遠吠えにしか聞こえないし。自分のロマンを突き崩されて傷ついたのは分かったけど、蕎麦屋のカレー食べて「こんなのカレーと違います!」って涙流すインド人みたいなもんじゃないかなあ。そんなインド人見たことないけどね。

ちょっと話ズレるのに監督の話が出て来たのは、その時点ではまだ映画を見ていなかったのに、えっらい不愉快になってしまったんですよ、自分が。問題意識だとか社会的な背景に興味のないパンピーにはこの映画はただの「ちょっとおもしろいけど画像の荒い特番」程度なんだろうし、映画館で見せるなボケェと言いたくもなるだろうと。でもね、アメリカ人にゃ、週末の目玉としてテレビの特番と映画ってのは並列なわけで。そこで、テレビの検閲で公開されなかった内容を見せる意味ってのは、映画というメディアを使ったゲリラみたいなものなんで、蕎麦屋でカレーを出さざるを得ない状況だとか、そんなカレーにもだし汁が入っていて和の心が反映されているところとかを味わう必要があるんじゃと。それでこそ、誇り高きインド人、いや映画人じゃないかと。

映画人とか書いちゃたよ。映画人。ププ。でね、確かに自分みたいに将来的には移住しようと思っていたり、あそこで自分の子供を育てようと思っていなければ、そこまでぎゃーぎゃー言う気にもならないかもですよ。でもマイケル・ムーアにゃ頑張ってほしいのです。なんかとってもフリーダムとか民主主義とかのルールにのっとって戦っていてアメリカ大好き汁出まくり、もぅアメプロ大好きっ娘。のミック・フォーリー御大みたいだから。アメプロファン、もといアメリカファンなるべくして育った戦後生まれの日本人としては応援するしかないでしょと。

自分が映画を作って配給できるくらいの資金を調達できるのなら、敵のファミリーを結婚式の集まりかなんかの時にGodFatherよろしく皆殺しにしてくれるゴルゴたんを雇いますぞ。それか整形しまくってエロい姉さんになって、始皇帝暗殺みたいなかんじでけしかけますぞよ。(無理無理)でも、そういう事しないで、非常に回りくどいんだけど映画を作って、底辺の人のパラダイムチェンジから手をつける彼は随分といい奴じゃないかと思うのです。だってそのほうが、彼の里の貧しい人達含めてみんなでお家転覆ストーリー楽しめるからねえ。

先日たまたま職場のRK君(1980年生まれ)が「冷戦」を知らないという事が露見して、自分のほうが理由もなく動揺してしまい、自分だけが分かっていてなんとかすれば良いという姿勢はいかんなと思ったのです。こんな年にもなって。冷戦が終結しても、「続ける為に戦う戦争」は続いているんだしね。去年たまたま「1984年」を手にとり、「過ぎてるじゃん?」と読み始めて、「・・・っていうか今の事じゃん!?」とビビった自分としては、華氏911の最後にも引用されていたジョージ・オーウェルを手当たり次第にお薦めしやんす。

1984年 (ハヤカワ文庫 NV 8)

1984年 (ハヤカワ文庫 NV 8)