博打打の本

テレビドラマやCMを見ていて、自分が少しでも詳しい業界について「ちょっとそれは全然違うんだがな」と感想を持つ事は多い。で、博打打ややくざもそうなんだな、と分かる本。時代劇なんかで、みぐるみ剥がして「おとといキヤガレ!」なんてやるわけないんですよ、と。もっともっとカスタマー・オリエンテッド。それに、戦前の下町ややくざの世界では、義理としきたりと見栄と付き合いで金がまわっていくようすも分かる。
刑務所ぐらしについても詳しい。「民度」という指標で言えば、今よりも低い時代に低い場所ばかりについて語っているのだけれど、読んでいて楽しい。異世界には違いないんだけれども、ものめずらしいものを覗き見する楽しさより、これも日本人の一部だと思うとなんだ逞しいな格好いいなわけもなく誇らしいじゃねえか、という気分のほうが大きくなる。
そろそろ息も長くない老人が、往診の医者にむかって己が人生を語りだす〜という構成のこの話、実は「Confession of Yakuza」という題で英訳が出ている。そういえば、アメリカ人に読んだことあるかと聞かれた事があった。適当に暴力団とかのイメージしか持っていない日本人より、これ読んだアメ人のほうがやくざな生き方について詳しくなっちゃうんだろうな。

浅草博徒一代―アウトローが見た日本の闇 (新潮文庫)

浅草博徒一代―アウトローが見た日本の闇 (新潮文庫)