ただの感想

あまり一般的ではないけれど、アメリカのフェミニズムで「Phallic」という言葉がよく使われる。日本語だと「男根主義的」と訳されるけれど、アラーキーぽいのでなんだか違う。要するに「ちんこ的」って意味。フェミニズムってのはあらゆる物に対して、「それは前時代的父権主義的封建的だ!」っていちゃもんをつけて、アタリマエの事ととらえているものごとのバイアスを見つける作業を怠らない・・・、集団ヒステリーみたいなものだと言ったら語弊があるかもしれないけど、まあそんなもの。だから端的に「あれはちんこ的」といえば槍玉にあげる標的の事になる。




子供ちんこ と 大人ちんこ

奇特な指摘としては「高層建築はみんなちんこ的だ」というもの。空にむかってとんがって、オノレの権威とかを主張しているから?プププと思ったけど、NECの本社は繁みボウボウのちんこビル(真性包茎)だし、不二ラテックスの本社(肌色)は三段締めを装着している。なるほどなるほど。

で、起承転結を良しとする文章というのもちんこ的だという指摘もある。前戯から始まってクライマックスへむかってまっしぐらというのは、男の快楽パターンを模倣しているのだと。一本線に集約されるストーリーラインが、盛り上がり下がりしながらもトレンドとして登り坂を描く。そんな文章もちんこ的、それを良しとする文化も多分にちんこ的、書き手が女でもちんこ的。そう考えると、どこもかしこもちんこだらけ。

ちんこにまみれる危機感からフェミニストってのはヒステリーに陥るのかもしれない。しかし、みじんもちんこ的でないものというのもある。先日紹介した「BLAME!」は、とことん非ちんこ的だ。ストーリーがリニア(線形)かもわからないので、ちんこ的マンセーな人から見たら苦痛でしかない。

というのも、全巻揃った記念に「BLAME!」のアニメDVDを鑑賞して感じた。これがまたDVDのナビ画面からしてアチラの世界の文字で書いてあって、読めない(笑)。5分程度のものが6本入っているが、キレギレのログ仕立てなので漫画を全部呼んだ人に、少々分かるといった程度。あいかわらず解読できる情報が見えている時間が少ないのだが、数分のセリフで漫画全部の状況説明をしてしまったりもする。漫画もアニメも含めて、いろんな方向から見たいろんな情報をみせて、薄いクレープを重ねるようにして世界を描く。人がそれに酔い始めると、随分書き込んだ絵にもざざーっとノイズが入ったりさっくり削除されたりして、潮が引くように我に返るようにしむけられる。

ある種、天才的なDJのようにお話を展開させていく。よせたり引いたりの潮はあっても、果てがどこにあるのかわからない広い世界を見せてくれる、そういうDJに聞き惚れるのと同じ方策で「BLAME!」は楽しめる。それはあんまりにもちんこ的な展開に飽きてきた、というよりお粗末なちんこに飽きたけど、フェミニストを自称するにはユルすぎる人向けの上質な娯楽なんじゃないかと、思うたんです。漫画もDVDもDJも。