IJ君の妹君(14歳)のソリューション
以前会った時には漢字の書き取りテストにてこずっていた彼女が、最近はめきめき学力向上で本を読みあさっているという。まずはやる気をだそうと、自作した自分応援ポスターに堂々と誤字があって、先行きの暗さを心配したのも昔の話。クリスマスプレゼントには「ハウルの動く城」の原作を指定して来たので、早速買ってきて・・・送る前にちょっと読んでみたらかなり面白い・・・プレゼントなのに。でも、自分とIJ君が読み終わるのを待っているとクリスマスプレゼントに間に合わないので、何かもう一冊推薦図書をいれていよいよ郵送することに。ホンサルだからね。
とはいえ、中学時代は貧しい読書生活を送っていたせいで14歳の女の子にどんな本を薦めたら良いのか分からないという事態に気付いた。ガーン。賢いお姉さんぶるのも一苦労ナリヨ。
ありがちな路線として、ミヒャエル・エンデの「モモ」を送ってイイ人ぶってしまおうか。・・・こそばゆいので、即却下。まぁ、中学生くらいで誰にでもウケそうなのは井上ひさしと、北杜夫、椎名誠くらいかなと思って、井上ひさしの「ブンとフン」を手にとる。パラパラめくってみて、マニアックなナンセンスのオンパレードに血の気が引いた。こんなものを送ったらお母様が自分を見る眼も変わってしまう!アメリカ育ちでバックグラウンドが大きく違って、21世紀に育った年代の子が楽しめる、ユニバーサルにおもろい本はないのか・・・?
というわけで、ユニバーサルな笑い→フィジカル・コメディー→体育会系→椎名誠、という連想とその他もろもろの理由により、「アドバード」を探すことにした。広告に支配された近未来で、やたらと「やわらかい」名前の生物や機械に出会いながら、いなくなったお父さんを探す冒険物語。洋モノSFの翻訳口調が大嫌いな人(それは自分)にお薦めの傑作。想像力を掻きたてる絶妙なネーミングに(マザーコンピュータの名前は「けつでっか」だし)、ああ日本人で良かったと思う、ハートフル椎名ワールド。近未来に仏教メタファーをからめた世界観も上手い!と膝を打ち、これならお薦めできるよ!と胸を張り、気に入ってくれなくても自己満足だよ!と涙を流しつつ(嘘)、暴走気味に購入決定。ブックオフでプレゼントを買うというのは邪道か?という問いは、この際思いも寄らなかった事にして発送。
単行本が重かったせいか、EMSで発送したら送料だけで3600円。・・・ホンサルはつらいよ。
- 作者: 椎名誠
- 出版社/メーカー: 集英社
- 発売日: 1990/03
- メディア: 単行本
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