SFおとぎばなしの本

先日本屋で「ナンバーファイブ」の英語版が出ているのを見つけた。トライバルでフューチャリスティックな登場人物の格好といい、メルヘンちっくでどこまでが想像なのか幻術なのか分からない背景といい、どの国のおとぎばなしでも良さそうだとうなづける珍しい作品なので英語化も納得。マンガというよりハイパー絵本というか。全編に渡って悲観と楽観が同時進行している不思議さは、松本大洋作品にある程度共通のものとはいえ、次第に呑まれる。絵空事が続くだけでおもしろい本なのに、終盤では地球を治めるそれぞれの立場の人の、それぞれの思惑が交差しながら収束へむかっている。今月号の掲載誌で終結したので、このわなわなした感じもあと少しで最終巻が出るまでしか持続しないのだけれど。

吾 7 (BIC COMICS IKKI)

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