軍人の本

何でも読むと言う割りには、ファンタジーノベルだとかライトノベル?と呼ばれるカテゴリーに疎いのは、「司馬遼太郎は読んでも田中芳樹には手を出さない」という妙な操を守っていた中学時代の名残から。(同人誌は読むのに、栗本薫はいかがわしいと思っている中学生ってどうよ)だがその防衛線もそろそろ決壊するかもしれないという話。

というのも、ウルトラジャンプ連載中のマンガ「皇国の守護者」をいたく気に入ってしまったから。帝国対皇国という構図や、軍隊内人事の機微だとか、サーベルタイガーを操る新城少尉の立場なんかに、「坂の上の雲」で読んだ日露戦争秋山好古の要素が散りばめられていて、最初は「坂の上の雲」のフィクションマンガ化かと思ったくらい。天龍とサーベルタイガーとエスパー兵が出てくるとはいえ、武器などから見て19世紀後半の戦場を舞台にしていて、話に厚みがある。「坂の上の雲」の醍醐味をより多くの人が楽しめるストーリーとして展開すると「皇国の守護者」のようになるんじゃないか、史実を追う楽しみにひとりよがり気味の「日露戦争物語」by江川達也のようになるより・・・。原作ファンの評価も高いので、マンガはひとまず買い、大満足。

原作の佐藤大輔は大戦シュミレーションゲームのデザイナーだったそうで、98年から書いている「皇国の守護者」は今のところ9巻まで出ているとか。マンガはまだ1巻しか出てない上、連載が月刊誌なので2巻は今秋の予定。マンガが原作に追いつくのは何年先になるのやら。ノベルに手を出すべきか出さないべきか。「皇国の守護者」と言おうとして「王城の護衛者」といいまつがってしまうくらいなんだから司馬遼の呪縛は強い。

皇国の守護者 1 (ヤングジャンプコミックス)

皇国の守護者 1 (ヤングジャンプコミックス)