平安文学の本
「田辺聖子の小倉百人一首」を読んでいると、平安時代の主な歴史登場人物は関西弁に近いものを話していたのかもな〜と思う。もちろん日本語自体が古いのだから話し言葉でも、文法がかなり違うとはいえ、音やリズムは関西弁寄りなんじゃないかと。というのも、田辺聖子のくだけた調子と、関西ことばと、初心者でも楽しめる和歌の話から、同じようなユルさがにじみ出ているから。
百人一首をろくに知らないからかるた遊びがつまんなかったとか、そもそも古文は苦手だとか、自分に赤点をつけた古文教師がやけにジェントルマン気取りなのが気に食わなかったとか、忌まわしい思い出のせいで和歌を鬼門と決め付けた(俺だよ!)人によく効くユルさ。聖子オババと会話する与太郎と熊八なんかと、居酒屋でビール飲みながらあーだこーだ言って和歌バナシをバカバナシに繋げていく、そういう楽しみにあふれた100篇のエッセイ。100首暗記する脅迫観念さえなければ、最初からこんな風に楽しめたのかもしれないのに。なんていうのは多分負け惜しみなんだけど。
- 作者: 田辺聖子
- 出版社/メーカー: 角川書店
- 発売日: 1991/12/01
- メディア: 文庫
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