日本仏教の本

道元といえばマユゲぶっとい体育会系の座禅バカというイメージが強いので、おもしろかろうと思って道元による本気モードの仏教書「正法眼蔵」を手にしたのが高校生の時のこと。(1ページ読んで爆睡)そんなヘタレも一回り(12年)すると小賢しくなり、対話調の「正法眼蔵随聞記」を読んでみた。こちらは弟子がまとめた仏教 for Dummys。
時には道元さんが、または中国の偉い坊さんが質問に答える「子曰く」形式で、古文の後に現代訳がついている。ごりごりの仏教議論ではなく、「坊主が猥談して良いものでしょうか」「そいつはいかがなものか」といった調子で、これをまとめた当時のギョウカイやら社会の有様のほうが推測されておもしろい。質問の背景を邪推しながら、ああこのへんが神道ぽい日本文化に染まったなとか、なんでも中国のものはあがめる田舎者根性丸出しだなとか、意地悪な視点で読むとハマる。
最後のほうは禅の真髄に触れ、「悟りとはなんですか」「麻三斤よ」という有名なくだりには「悟りとは何でもないことだという事を示す為に、日常の買出しでたまたま手にしていた麻を差し出した」とかなんとか最もらしい解説がついている。が、実に苦しい。「Life is a dope.」と脳内変換して、3斤(3ポンド!)もあれば悟りにも達するだろうよとニヤつくのは、後世の読者の自由だろうと。うふうふ。