タダの思い出ばなし

ロシャーンジェルスに住んでいたころ。天気の良い朝に、今日こそはと車に宿題の本とバインダーを山と積んで、よし!と出かけた。午前中に外に出たまではよかったが、そのままフリーウェイに乗って、あれよあれよと山を越えて砂漠に出た。このあたりは出口の名前もただのアルファベット一文字が順番についているだけで本当に何もなかったから、その後に出てきた「エドワーズ空軍基地」で下りた。

そのまままっすぐな道をずーっと行くとナス型サングラスのオッサンが立っていて、免許を見せたら基地に入れた。スペースシャトルの着陸地というより、その頃はB2bomberの配備基地として知られていたエドワーズ空軍基地も、特にイベントのない日なのかガラガラだった。ウロウロして怒られたり撃たれたり、もっと面倒な目にあったらいやなので、人の少ないところに屋外展示してある古い戦闘機の写真を撮っていた。

翌日そんな話をしたら「砂漠に図書館でもあるのかと思ったのかよ!」とあきれられた。そんな切り返しじゃつまんねえよと思ったのを覚えているし、そこまでして逃げ回った宿題が中国語の書き取りだったのも覚えている。もし空軍基地でつかまったら、中国語のテキストを手にどんなくだらない弁明をしなければならなかったかと思うと、実に幸運だったと感謝している。(誰に?)