蕎麦で昼酒の本

女一人で入って昼から酒飲んでもゆっくり楽しめる場所ときいて蕎麦屋と即座に答えるアナタ〜、若ければ若いほどかなりの曲者。昼日中からツマミをちくちくつつきながら日本酒を傾ける事のできる気楽な身分でいたいねぇなんて、やっぱりロクな人間じゃない。

お江戸マニアの杉浦さんと愉快な仲間達が、一店一店気に入りの蕎麦屋での愉楽の時を語り、ちゃんと店舗情報まで掲載したお得な文庫本「もっとソバ屋で憩う」を読むと、自分の気に入りの蕎麦屋のひとつもなけりゃ大人じゃねぃやって気がしてくる。この本はグルメ用でも薀蓄用でもないし、まだションベン臭いガキは読むなとまで最初に断っている。「10年早い世界があるというものですよ」と酒豪杉浦女史に言われたら、すんませんと引っ込むしかない。

古式ゆかしい集団登山型のオバサマランチに飽きたら、アルパインスタイルの如くストイックな蕎麦屋単独昼酒を目指そうと、メージトレーニングする日々。デビューをいくら早めても杉浦女史とニアミスする事がないと思うと、ちょっとさびしい。合掌。


もっとソバ屋で憩う―きっと満足123店 (新潮文庫)

もっとソバ屋で憩う―きっと満足123店 (新潮文庫)