ただの悪口

最後に書いたのが転職前の一番ダラダラの時。そして職を得てからビシっと放置、という妙な筋を通してしまいましたが、別に本を読んでいなかったというわけではないのです。確かに通勤時間が短すぎて本を持ち歩かなくなったのですが、それより書き記すという技能自体をすっかり忘れていました。人として、何かバランスを欠いていたに違いありません。

この間、読まなくても良かったと一番強く思ったのは「村上春樹論ー海辺のカフカを精読する」という新書。無粋この上ない。著者は「海辺のカフカ」のマーケティングにおいて「救済の文学だ!」というお題目ばかりが走りすぎた様子に怒り以上の恐怖を覚えたかもしれない。でも、そんな事をなぜか一切知らずにこの本を入り口に村上春樹のおもしろさに引き込まれた自分にとっては、迷惑千万としかいいようがない。そんな解釈本。評論未満という意味での解釈本。

解釈にオツな示唆がなにもない上、噛んで含めるようにくどい。退屈以上に害でさえある。これを読んで「謎は解けた!」とばかりに安心した、ウチの親父の頭の構造がわからない。というより、何故自分がそんな親父の娘なのかが分からない。本の悪口を書こうとおもったらとめどなく出て来そうなので、矛先を自分の方にむけてみた・・・

そのくらい、一生懸命引っ張り出した精神分析やら現代哲学ワードが結局30年前くらいのお粗末な社会論に帰結していて「えー!」「そこに行くのかよ!」って、疲れる。文字を毎秒読み進まないと死ぬような病気になったらどうぞ。